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2021.06.17 1,054PV

就労支援×世界の植物と昆虫のお店「アペロ・ヒューレ」

アペロ・ヒューレ

こんにちは!

みなさんは「えっ、ここのお店って福祉の事業所だったの?!」と驚いた経験はありますか?

ここ数年は障がい者の働き方が多様化しており、面白いサービスを展開している事業所が増えています。

今回取材させていただいた名古屋市にある「アペロ・ヒューレ」さんもそのひとつです。

福祉の発想を超えたわくわくするような素敵な取り組みをご紹介します!!

ちなみにこの記事に使われいる写真はアペロ・ヒューレのパートナーさんたちに撮影していただきました!!

 

美しい植物や生き物の世界を届ける

アペロ・ヒューレは、サボテンや多肉植物、レアな希少植物やインテリアプランツをはじめとした観葉植物と昆虫生体や標本の販売をしているお店です。

 

世界中の観葉植物

こちらは店内の入り口。森の中にやってきたみたいですね。

 

アペロ・ヒューレの小道。

背の高い植物たちがずらり。

 

さらに奥に進むと温室があります。

世界中から集められた変わった植物がずらり。

 

昆虫の販売

アペロ・ヒューレでは昆虫の販売もしています。昆虫も世界中から集められており、温度管理を徹底した部屋で飼育されています。

 

こちらは、昆虫の標本です。生きているのではと疑ってしまうほど生き生きしています。子どもたちに絶賛な理由がわかりますね!

自分たちが大切に飼育してきた証拠として、標本にも力を入れているそうです。

 

痛んだ植物は再生して届ける

傷んだ植物は、育て直した後にヤフーオークションで販売しています。

生き物を大切に想う心は最後まで忘れません。

ヤフーオークションHP:https://auctions.yahoo.co.jp/seller/hylestore

 

実は就労支援の事業所だった

ここまで販売されている植物や昆虫を紹介してきましたが、実はここ、福祉の事業所なのです。

レジ前には、事業所案内のパンフレットが置かれていますが、外見だけではなかなか気付くこともないと思います。

アペロ・ヒューレは、一般社団法人「日本福祉協議機構」が運営している就労継続B型支援事業所で、「好きを仕事にしよう!」をコンセプトに様々な仕事の創造を目的としています。

利用者の方たちは「パートナー」として働いており、それぞれの特性や個性を存分に発揮して共にお店を運営しています。

パートナーさんたちの生活を大切にしながらそれぞれの可能性を支援しているのです。

 

就労支援として運営している理由

なぜ、就労継続B型支援事業所として植物や昆虫を販売しているのでしょうか。

気になりますよね。私も、取材前に事業内容を確認した時、頭の中がはてなでいっぱいで。(笑)

アペロ・ヒューレの誕生は、なんとパートナーさんの声がきっかけでした。

法人内では元々植物や生き物の触れ合いは大切にしていました。

ある日、ひとりのパートナーさんが植物のお世話をしていた際に「これが仕事だったらいいのにな」と発言されたことから始まったそうです。

私はこのエピソードを聞いて、単純にすごいと思いました。

ひとりの意見をここまで拡大させることができるのは、それだけパートナーさんたちの自主性や自由度を尊重しているということですよね。

アペロ・ヒューレが誕生する前から、発言しやすい環境が整っていたのでしょう。共に成長できる関係が構築されていますね。

 

特性や個性を大切に

植物や昆虫を販売しているお店ですが、パートナーさんの仕事は接客や販売、植物の水やりや昆虫のお世話だけではありません。

パートナーさんが楽しく働けるように、特性や個性に合わせて様々な仕事を提供しています。

例えば、ホームページに掲載する写真を撮影する仕事やオリジナルバッジを作ったりする仕事があります。

また、植物を販売する際に必要な札を作る仕事では、得意な絵を描いたり綺麗な丸の形を切り取ったりしています。

他にもパソコンで事務的な作業をする仕事もあります。

 

こちらはプレゼントとして贈る植物の寄せ植えです。この仕事もパートナーさんが行っており、お客様の要望を聞いて作っています。

パートナーさんの豊かな創造性が発揮されますね!

アペロ・ヒューレの空間を好んで利用されるパートナーさんが多いですが、もっと自然と触れ合いながら仕事がしたいと声をあげるパートナーさんもいるそうです。

パートナーさんの特性をひとつに合わせるのではなく、どのような仕事ならやりがいを持って楽しく働くことができるのかを常に模索していると就労支援部門を統括する柴田さんは話します。

実際に、自然と触れ合いながら活躍できるプロジェクトも進めているのだとか。

これについては、またの機会に取り上げたいと思います!

このように、アペロ・ヒューレでは、自分の得意とすることを存分に発揮し楽しみながら働ける環境を提供しています。

実際に、パートナーさんたちの働く様子を見させていただきましたが、皆さんとても笑顔で生き生きとされていました!

 

パートナーさんの成長

アペロ・ヒューレは2017年の7月に開店され、今年で4年目になります。

開店して間もないですが、多くのお客様が訪れており、中には埼玉から来られるお客様もいるそうです。

 

開店後のパートナーさんの成長を生活支援員の永山さんにお聞きしました。

 

永山さん

植物や昆虫を育てることが苦手だった人もいました。最初は見るだけで大きな声を上げていたパートナーさんでも、今ではお世話をしながら可愛いと言うようになり、命の大切さをわかってもらえたと思うと嬉しいですね。

 

-すごい!!3年半でそんなに成長されたのですね!

 

永山さん

植物や昆虫の育て方もパートナーさんたちが提案してくれるようになり、大きくなったから植え替えようだとか、幼虫から成虫になる過程でもうすぐ蛹になると判断できるようになったりしました。私たちより知っていること多いかもしれないですね。(笑)

 

-任せられる存在になっていますね。

 

最初はリーダーといった役割もあったそうですが、パートナーさんのプレッシャーになってしまったこともあったそうで、今ではみんな平等に取り組んでいると話していました。

自分で判断し、わからないことがあればスタッフに聞くというスタンスを取っているそうですが、障がいの有無に限らずできない人はできないと思います。

パートナーさんたちがスタッフと対等に仕事ができるのは、スタッフの皆さんのパートナーさんたちに対する想いの強さが大きいこともうかがえますね。

 

他の就労支援とはここが違う

植物や昆虫のお店というだけでも圧倒的な違いを見せていますが、想像を超えるような“違い”をお聞きすることができました。

 

自由なワークスタイル

アペロ・ヒューレは、就労継続B型支援事業所として運営されていますが、障がいの区分や能力での受け入れの制限を設けていません。

パートナーさんたちの好きなこと、できること、できるようになりたいことを尊重しています。

例えば、障がいがある人で能力が高くても毎日出勤することが困難な人がいます。

そういった方に対して無理なく働くことを始めることができるように、はじめは月に数回と決め、少しずつ慣れていけるようなプランを提供します。

また、日本福祉協議機構では、多種多様な事業を展開されているので、働くことが困難であるならば、生活介護事業に移行する選択もできます。

法人内で、生活スタイルを選択できることも魅力のひとつですし、利用者の方も安心して過ごせますね。

 

海外にも目を向けている

一番の驚きは海外支援を行っていることです。最近では「多様性」という言葉をよく聞きますが、海外にも目を向けている福祉施設を見るのは初めてでした。

支援の対象を障害者に縛られることなく海外の方とも共にし、支援の対象を取っ払った環境を創造することを目的に活動しています。

コロナ禍以前の取り組みでは、パートナーさんとスタッフでカンボジアの学校に行き、教科書を寄付する活動をしていました。

学内では、日本語を教えたり、学外ではカンボジアの色々なお店に行ったりします。

各お店では、パートナーさんがカンボジアの子どもたちにお店で働く人を紹介し、ぼくたちの仕事はゴミ拾いだけではない!こんなにも楽しいことがある!といったお話をするそうです。

カンボジアの子どもたちに夢を与えていますね。

パートナーさんたちがスタッフから夢を与えられているからこそ、海外の子どもたちに夢を与えることができる。

“give”で感謝が循環していますね。

素敵です!

 

おわりに

みなさん、どうでしたか?

福祉に対するイメージがガラリと変わったのではないでしょうか。

就労支援を必要とする人たちの生きづらさで一番大きなものは、物事における理解や判断の困難さがあることです。

これらにより、対人関係や社会性のトラブルに至ってしまうことがあります。

そのような中で、障がいのある人がやりがいを持って働くには、私たちと同じように自分の得意なことや好きなことに対して誇りを持つ必要があると考えます。

そのために、支援者は障がいのある人の生活に寄り添わなければなりません。

今回の取材を通して、ソーシャルワークの価値とは、支援を必要とする人たちの自己形成の創造から始まるものだと再確認することができました。

生命を大切にするといった福祉の枠に捉われないアペロ・ヒューレの取り組み。

これからの福祉の未来は、明るいです。

多種多様な福祉の在り方が創造されることにわくわくを感じます。

 

福祉ってこんなに素敵で面白い!

そう感じてもらえたら嬉しいです。

 

基本情報

〈世界の植物と昆虫のお店 APERP HYLE〉

住所:愛知県名古屋市天白区境根町152

営業時間:10:30~19:00

定休日:水曜

TEL:052-715-8500

アクセス:地下鉄桜通り線「相生山」駅下車

HP➀(事業内容):https://n-fukushi.jp/facility/aperohyle_nagoyaaioi 

HP➁(通販):http://aperohyle.com/  

Instagram:https://www.instagram.com/aperohyle/ 

 

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この記事を書いた人

Miku

Miku

椙山女学園大学 人間関係学部

愛知県刈谷市出身。社会福祉学を専門にしており、名古屋を中心に社会福祉施設で活動中。2020年8月よりヴィーガン生活開始。