
こんばんは!福祉学生ライターのMikuです!!
“ないものは創る”というスタンスで様々な取り組みをしている日本福祉協議機構。
障がいのある18歳以上の方に特化した福祉型専門校「JOBs COLLEGE」(ジョブカレ)が8月に開校されました。
今回は、ジョブカレの校長を務める塚本翔大さんを取材させていただきました。
目次
JOBs COLLEGEを開校するきっかけとは
JOBs COLLEGE(以下ジョブカレ)は日本福祉協議機構の放課後等デイサービスに通う利用者とその保護者の声から始まりました。
障がいがある人は義務教育を終えると、多くの人は障がいの受け入れに理解のある特別支援学校に進学します。
では、特別支援学校を卒業した後はどのような進路を選択するのでしょうか。
社会に出る準備をする
△お昼休みに使うフリースペース
特別支援学校を卒業すると、多くの人は“働く”ことを選択します。
就労継続支援事業や就労移行支援事業で働く人が多いです。
一方で、障がいがない高校生の多くは大学進学を目指す人が多いですよね。
この違いは何でしょうか。
私たちは“大学生”という期間を使って様々な知見を得たりやりたいことを見つけたりします。
しかし、彼らにはそのようなことをする経験をする機会がありません。
実際に、放課後等デイサービスを利用している子どもたちは、自分が働くことについて不安を感じていると言います。
何がやりたいのか、何が得意なのか、何に向いているのか分からないのに、選択肢が社会に出ることしかないのは不安になりますね。
これは、障がいがあるか否か関係なく、誰もが感じることだと思います。
私も高校生だった頃、将来の自分に漠然とした不安を抱えていました。 あまり覚えていませんが。
保護者の声としては、自分の子どもが社会に出るのはまだ早すぎるという声があるとお聞きしましたが、障がいがない子どもの保護者であっても同じことを考える方が多いのではないでしょうか。
社会に出る前に様々な経験をし、自分のやりたいことを見つけることは誰もが必要なことだと思います。
しかし、障がいがある人はこのような経験をする場所がないのです。
日本福祉協議機構のマインドを大切に
「アペロ・ヒューレ」の取り組みを思い出してみましょう。
アペロ・ヒューレは植物や昆虫を販売しているお店ですが、パートナーさんの特性や個性に合わせて撮影のお仕事やパソコンでの事務的なお仕事もしています。
ジョブカレでも21の専門コースが設けられており、一次産業から三次産業まで取り扱っています。
なぜこれだけの専門コースを提供しているのでしょうか。
それは、専門性が限られているとなると、学生たちに選択肢を提供することができなくなり、可能性を狭めてしまうからです。
この分野に向いている人はこっちの分野が向いていないなというのを補っていくためにも様々な専門性を提供しているそうです。
様々な選択肢がある中で学生たちがどのような選択をしていくのかが期待されます。
また、ジョブカレでも学生のできることやできるようになりたいことを尊重しています。
例えば、学校に通う頻度や通い方は学生の希望に合わせています。
すぐにでも働きたいと考える学生であるならば週に5日間通うプランを提供しますし、働くことを急いでいない学生であるならば少しずつ慣れていけるようなプランを提供します。
就職することがゴールではないので、学生の全てを知るという姿勢で向き合っていくのです。
ジョブカレは通過点ではありますが、卒業後に何かあった時に駆けつけることができる場所としての機能も担保するために、学生と支援者の信頼関係を構築することにも努めています。
「ないなら自分たちが創れば良い」
これは日本福祉協議機構のマインドです。
就労継続B型支援事業所の「アペロ・ヒューレ」の働き方にしても、「互いの森プロジェクト」の就労課題と地域課題の解決のための取り組みにしても、過去の事例がないところから生み出しています。
本当に素晴らしいマインドです。
障がい者就労におけるSDGs事業戦略
△押し入れを個人スペースに
ジョブカレでは、障がい者の就労を支援するだけではありません。
障がい者就労支援や障がい者雇用率の向上を通して、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」を指標とし、様々な企業様とサスティナブルな障がい者福祉の活動に取り組んでいます。
ジョブカレではSDGsの各目標の番号に対しての取り組みをジョブカレ版のSDGsとして発信しています。
特に「➇働きがいも経済成長も」「➉人や国の不平等をなくそう」「⑰パートナーシップで目標を達成しよう」を力に入れています。
障がい者も社会に貢献する
△パソコンルーム
まず、「➇働きがいも経済成長も」について見ていきます。
ジョブカレでは、「働けるだけでありがたい」という障がい者就労の認識を変化させ、それぞれが自身の能力に自信を持ち、同一労働同一賃金に見合う労働力と「社会に貢献できている実感」を持てる就労マッチングを目指します。
みなさん、就労継続B型支援事業所で働く利用者がいただいている平均工賃月額はいくらだと思いますか。
厚生労働省障害福祉課の令和元年度の調査によると、就労継続B型支援事業所の平均工賃月額は16,369円でした。
大学生が朝から晩まで働いて得られるお給料と同じくらいです。
近年は増加傾向であるものの、労働に見合った工賃ではないですよね...
同じ時間と量をこなしているのに、最低賃金でさえいただけない現実。
障がいがある人でも能力を発揮して成果を出しているのならば、それに対しての対価をいただいても良いはずです。
ジョブカレを卒業した学生たちには、能力に見合った仕事に就き、やりがいを感じながら活躍して欲しいですね!
参考資料:就労継続支援事業所における平均賃金・工賃月額の推移(厚生労働省障害福祉課調べ)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000735614.pdf
障がい者が将来を考えるためには
△製造や産業を学ぶ教室 机や椅子は名城大学の学生が製作
次に、「➉人や国の不平等をなくそう」について見ていきます。
ジョブカレでは、特性を伸ばして就労先を増やすことだけでなく、障がいを受け入れる側へのアプローチや雇用環境の構築のサポート、様々な業種の開拓を行っています。
障がい者の受け入れに積極的な企業は、彼らの能力を活かすことで会社が成長できることを理解しています。
一方で、障がい者雇用をためらう企業は、障がい者=劣っていると考える傾向があります。
障がい者が劣っているのならば健常者は優れているのでしょうか。
そうではないですよね。
障がいがあるから苦手なことがあるのではなく、どんな人間でも苦手なことはあります。
障がいという言葉が在り続けることや私たちが育ってきた環境は変えることはできません。
ジョブカレの学生たちと協業することで、障がい者の概念を変えると共に障がいによって職業の選択が限定されない社会になって欲しいですね。
企業とより良い関係性を
そして、「⑰パートナーシップで目標を達成しよう」についてです。
福祉と企業の間には壁と距離感があります。
ジョブカレでは学生と企業の間に入りお互いにより良い関係の構築に努めています。
私たちが行動しないことには変われないという認識があるのと同じように、企業も障がい者と一緒に働くという経験をしないことには、障がい者の理解は得られません。
実際に協業することでパートナーシップを結び、障がい者が社会に進出することの価値があるということを体感して理解して欲しいと話されていました。
インターンシップという形でパートナーシップを結ぶとなると企業にとっては短期的な価値観を提供することは難しいかもしれません。
しかし、長期的な目で追求していくとより説得力が増し、協業することの本質が理解できそうですね。
JOBs COLLEGEが目指すべき姿とは
最後に、ジョブカレを卒業する学生たちにどのような姿で旅立って欲しいかお聞きしました。
塚本さん
ジョブカレに通って良かったなと思える人を輩出したいですね。
自分の人生を変えることができたとOBとして訪問してきてくれたら嬉しいですし、OBと学生との交流が増えたら良いですね。
―OBの存在は何よりの説得力ですよね。
塚本さん
ジョブカレに来てなんとなく就職に繋げるのではなく、彼らのやりたいことを支援しつつも困難を乗り越えることの必要性も伝えていきたいです。
おわりに
みなさん、いかがでしたか。
障がいがある人が通う専門学校をつくるとお聞きした時、日本福祉協議機構は本当に社会のためを思っていると感心しました。
ないものは創り出すというマインド、見習っていきたいです。
始終、福祉メディアみたいになってしましましたが、福祉課題を解決するために新しいことを生み出し続けている法人が、愛知県名古屋市にあるということを覚えていただければ嬉しいです。
これからジョブカレがどのように展開されるか楽しみですね!
福祉学生ライターのMikuでした!
基本情報
〈JOBs COLLEGE天白校〉
住所:愛知県名古屋市天白区植田西1-522
TEL:052-803-5001
アクセス:名古屋市営地下鉄鶴舞線「塩釜口」駅から徒歩10分
Instagram:https://www.instagram.com/jobscollege.tenpaku/?hl=ja
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