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2021.01.11 259PV

南知多の奇跡 実質破綻先からの復活劇!

山三商会

「間違っているかもしれないけど、僕の経営は、売り上げを一番に考えてはいないんです。」経営危機の中、いちサラリーマンの立場から改革を進めて奇跡のV字回復を導いた、山三商会の野口社長は言います。そんな異色の人生を歩んできた野口社長に、勝負の経営改革のこと、経営をする上で大切なこと、そしてこれからのことまでお伺いしました。

 

いちサラリーマンが、経営危機の会社を背負っていくことに

僕の転機は48歳の時でした。サラリーマンとして勤めていた山三商会が経営危機に陥って、実質破綻状態になったんです。僕が逃げ出したら、この会社は100%潰れてしまう、という状況でした。それが分かっていて、逃げ出すことはできなかったんです。ここから、会社の改革を進める勝負の4年間が始まりましたね。前経営者が大量の負債を残した中で経営を引き継いだので、当時は「他人の借金を背負うだなんて、バカじゃないのか」と周りの人からはたくさん言われました(笑)自分も自己破産するのではないかと思ったことも何度もあります。それでもここまでやってこられたのは、周りの方々のおかげですね。正直、当時は「僕しかいない」みたいなかっこいいことは考えていませんでした。「どの方向に行っても危ない中ならば、前に進むしかない。」そんな心持ちで、がむしゃらにやっていました。この会社の歴史は、このときから始まっているとも言えますね。2007年に社長に就任してからも、事業の改革を進めながら、よりよい会社づくりに取り組んでいます。

 

改革のためにやめたこと

経営危機に陥るまで、うちでは商品作りにおいて他の企業と全く同じことをしていました。大手企業の売れ筋の商品にあやかろうと、様々な工程を取り入れていたんです。例えばえびせんべいだったら、練って、膨らませて、油で揚げて味付けをして……というように。そこを一から考え直そうと、えびせんべいの製造工程の単純化に取り組みました。練って、焼いて、包装する。というごくシンプルな3工程に絞ったんです。これにはなかなか苦労しました。なんてったって、その先の工程を踏んだ商品が売れ筋ですから。ボリューム感がなくなってしまい、実際に売り上げも落ちて、4、5年は悩みましたね。ですが、この大きな方向転換が山三商会の危機を脱した一番の要因だと思います。余分な塩分や添加物を使わずに、「えびの大判せんべいだけは、他のどの企業にも負けない」という思いにつながったんです。何から何までを大手企業と戦うことはできなくても、何か一つだったら勝負をすることができる。良い商品をつくっていれば結果はついてきます。また、油を使っていないので、この商品は世界で勝負できるものでもあるんです。

 

売り上げではなく、理念と意義を

経営をする上で、「一番を目指して利益を追求する」ことはやはり重要になってきます。周りを見渡しても、全ての会社が右肩上がりの業績を目指すことが正解だとされています。しかし、利益、売り上げを一番に求めることが果たして本当に正しいことなのか、ということに、経営者になったときにすごく悩みました。経営で一番大切なことは何なのか。たくさん悩んできた中で僕が出した経営の正解は、売り上げのために何かをしていくのではなくて、自分たちが持っている事業の理念や意義を推進した結果、売り上げがついてくるようにする、ということです。実際に、過去に最高の売上高を記録したときは、無理があって最終的に品質が悪くなってしまったんです。出す商品の品質にこだわり、事業の理念と意義を見失わないこと。今は売上高をもっと減らしてもいいんじゃないかとも思っています。モノとお金では、結局心を満たすことはできない。最終的には心を大切にしなければいけないんです。これが経営者人生で一番感じたことで、大切にしていることです。

 

これ以上ないベストを尽くしたとき、天が味方をしてれる

僕のようないちサラリーマンが、ほぼ終わった状態だった会社をここまで立て直すことができたのは、奇跡に近いことなんです。でも、それをなぜ成し遂げられたかといえば、サムシンググレートとつながろうとしたからですね。僕たちは、感謝の心を忘れず、人事を尽くして天命を待つとき、サムシンググレート、つまり天の力とつながることができます。懸命な努力、自分や仲間を信じる心、絶対やり遂げるという強い意志が揃ったとき、天や運は味方をしてくれるんです。もうこれ以上無理だと思うくらいベストを尽くしたときに、サムシンググレートが力を貸してくれるということです。

 

信念が強みであり、すべて

うちの会社の強みは、どちらかといえば技術力じゃなくて、経営理念、信念といったところにあります。「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」山三商会では、この経営理念を一番大切にしています。どうしても人間って、自分にとって不都合なことはしたくないじゃないですか。自分に関係のない問題には客観的な判断ができるのに、自分が関わった途端に損得感情を始めてしまう。これはしょうがないことで、利己の精神を完全になくすことはできないんです。それでも、会社は一つの人間であるわけだから、考え方は一つでなければいけない。そのためには、経営理念を会社に浸透させて、全員が同じ信念を持つしかありません。会社が潰れるか潰れないかって、これができているかどうかの差だと思うんです。これは人間がやることだから、難しくもあります。でも、僕が会社に求めているのは、この信念の共有だけ。一人一人が違った環境で生きてきたのに、全員の考え方を同じにするなんてことはできません。だからこそ、信念を共有することで、利己の心を抑えて、考え方を合わせる努力をする。逆に言えば、信念を共有すること以外要求しないという、このやり方は甘いと言われてしまうかもしれません。ですが、それによって「余裕」が生まれて、生き生きとした会社づくりができているんじゃないかなと思いますね。

 

文化と共に、世界へ

これからは、名古屋の文化と共にえびせんべいを世界の市場に進出していきたいと考えています。先ほども言ったように、うちのえびせんべいは余計な添加物を加えていないから、長期間そのおいしさを保つことができるんです。そして、2017年にFSSC22000*を取得しました。たとえ大きな企業ではなくても、こだわりがあって、品質を保証できる商品を一つでも持っていれば、世界に進出するのには十分だと思います。今は、ブラジルのような遠い地域での流通のために、消費期限が1年間ある商品を開発しているところです。そして、商品だけではなくて、名古屋、愛知の文化も世界に広めていきたいと思っています。名古屋には「たません*」の文化がありますが、日本国内でも「たません」を知らない人は多いですし、ましてや世界ではほとんど知られていないでしょう。そこで、海外でせんべいを売る際に、「たません」の屋台を出して、食べ方をともに提案してみるとか。こういった、文化を商品に結びつけて世界へ広めていくことが、自分でも面白いと感じますし、この地域のいち企業としての使命なんじゃないかな、と思います。

このような事業を進めていく中で、山三商会は様々な変化を遂げると思います。ゆくゆくは、僕が社長の地位を退いて、山三商会という社名だって変わるかもしれない。そんなとき、会社には変わっていけないこともあります。それは信念です。今、会社に浸透している信念が失われない限り、この山三商会は続いていきます。

 

<備考>

FSSC22000…ISO 22000を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格。

たません…名古屋市周辺で食べられている料理。「たこせんべい」または「えびせんべい」を鉄板の上で焼き、お好み焼き用のソースを塗る。鉄板で黄身を潰した目玉焼きまたはスクランブルエッグを作り、せんべいの上に乗せマヨネーズをかけ二つに折ると完成する。

 

野口 英司さんプロフィール

株式会社 山三商会代表取締役社長。

1993年 山三商会に入社。2002年に同社が経営危機に陥ると、同族家内工業経営から企業組織経営への改革推進を担う。2007年に初の非同族経営者として代表取締役社長に就任。盛和塾に入塾し、フィロソフィの共有化や勉強会を開始して再建を進める。2017年、FSSC22000認証を取得し、現在は新たなビジネスモデルを掲げ事業推進中。<株式会社 山三商会 WEBサイトはこちら>

 

取材を終えて 担当ライター

経営の知識が乏しい私ですが、大変貴重で、勉強になるお話を伺うことができました。

大量の負債(しかも他人の!)を背負って経営を引き継ぎ、がむしゃらに経営を続けた自身のことを、「バカさ加減がよくわかるでしょ?」と野口社長はおっしゃいますが、そんな場面でも諦めることなく結果を出し、V字回復に向かわせたのは、社長の真摯さや謙虚さの賜物だと思います。そして、社長のそのような姿勢は、経営に限らずたくさんの場面で活かすべきものです。

山三商会の皆さん、本当にありがとうございました!

 

工場見学

お話の後には、実際におせんべいを製造している工場を見学させていただきました😊

食品がつくられているところを、こんなに間近で見ることができるのは初めてでワクワクです!

山三商会工場

 

おせんべいの材料たち!商品に合わせて、この材料の種類や調合を変えていくんですね。山三商会の商品が、シンプルかつこだわりのある材料から作られていることが伝わってきます!

 

山三商会工場材料

 

続いて材料を練り合わせていきます。

 

山三商会工場焼き

 

ついに練り合わせた生地が焼かれていきます!大きな円状の機械で、鉄板に生地が載せられると、一周した頃にはおせんべいの形に🍘完全に自動化されていて、24時間動いているんだそうです。

 

山三商会おせんべい試食

 

できたてのおせんべいを頂きました!素材の味が引き立つおいしさです。

 

山三商会工場おせんべいチェック

 

ここでは、人間の目と手で、焼き上がったおせんべいの形の大きさをチェックしています。

 

山三商会工場製品包装

 

最後にこのマシーンで包装を行ったら完成です!山三商会のおせんべいたちは、こうして私たちの手に届いているんですね。

 

山三商会工場内経営理念

 

工場内にも、会社の大切なフィロソフィが✨

 

 

この記事を書いた人

ほのか

ほのか

名古屋大学文学部1年

ことばとアイドルが好きなしがない大学生です。絶賛モラトリアム謳歌中。お手柔らかにお願いします。