前回の記事で僕は、「プロデューサー=「ヒト」「モノ」「カネ」を集められる人」と定義しました。
プロデューサーとは、ゴールから逆算してプロジェクトの計画が立てられる人です。
目次
プロデューサー感覚を身につけよう!
学校を卒業して、たとえば制作会社(制作会社でなくても良いのですが)に就職した場合、まずは徒弟制度に放り込まれ、「歯車」として扱われます。
パワハラ・セクハラ撲滅、コンプライアンス遵守が叫ばれる昨今、だいぶマイルドになったとは思いますが、それでも働き方が合理的に改善されるには、まだまだ時間を必要とするでしょう。
夢を持って会社に入ったのに、大半の人がぶつかるのが、「なんで、自分のやりたいことをやらせてもらえないんだろう」そして「どうも働いていなさそうなのに、高い給料をもらっているオジサンたちがいるぞ」という疑問です。
ここで心病んで、早々に辞めていく人もいるのではないでしょうか。
僕が伝えたいのは、新入社員のときからプロデューサー感覚で仕事を見つめることです。
「全体」が意識できてたら強いからです。
「今自分がしていることは、全体にとってどういう役割を担っているのか」を把握できたら、将来「全体」を司るために、今はあえて「歯車」でいてやろう、と思えます。
歯車扱いされて腐ってしまったり、あきらめたりせず「いや、今は歯車だけど、いつか全体を司るために、あえて歯車になってノウハウを吸収してやろう。そして全体を作る側に回るぞ」と思えるか。極端に言えば、将来会社を辞めて独立する気構えで、確信犯的に「歯車」を演じたって良いと思います。
このお話を、映画をつくるための「全体」というテーマにスライドします。
映画製作に必要なヒト・モノ・カネ
映画製作というプロジェクトを遂行するために、「ヒト」「モノ」「カネ」を集める必要があります。
ヒト・モノ・カネを集めて「製作委員会」を組成するケースもあります。
前回の記事で語った「道具を準備して、型にハマったやり方で映画の完成を目指す方法」です。
その製作委員会の中身について見ていきましょう。
まずは「ヒト」
脚本、監督、カメラ、照明など制作スキルを持っているヒト、主演、助演、エキストラなど出演してくれるヒト、宣伝力、営業力、組み立て力を持っているヒト、そして、お金を集められるヒト…などなど、「映画作ろうぜ!」の声に集まってくる「仲間」たちです。
次に「モノ」
カメラ、音声、照明、スタジオ、編集機器、ロケ地など文字通りモノですね。
ただ、もっと大事なのはこういった有形のモノだけでなく、集まってくれたヒトが持っているリソースです。リソースというのはそのヒトの資産、解決能力というような意味合いです。脚本を書き上げる創作力、役者さんを口説くキャスティング能力、お金を稼ぐ営業力、関係各所のバランスや対外関係を調整する能力などです。
それぞれが、それぞれの分野で力を発揮しあって、チームの能力を最大に持っていけるほど良いチームになります。
最後に「カネ」
これはもうそのものズバリ!、制作、宣伝、配給のために必要な費用です。
このカネを集める能力が、ある意味一番大切です。
映画をつくるための熱意を語り、「精神的に」仲間になってくれるヒトは見つけられても、命の次に大切なお金を「物理的に」出してもらう作業は相当骨が折れます。出してくれたお金を減らしてしまったり、ときには全額失わせてしまうこともありますから。
製作委員会というのは、言ってみれば運命共同体の割り勘チーム。
映画製作に必要なお金をみんなで出し合い、リスクを分散します。
例えば総製作費5,000万円の映画を作るとして、1人で全額出したとすると、もし映画がコケてしまったら、その5,000万円分のリスクは1人で背負わなければならなくなります。
しかし、1人1,000万円ずつ5人で出し合ったとしたら、もし映画がコケたとしても1人あたりのリスクの上限は1,000万円になります。
さらに、5人それぞれのリソースを活かしあえたら、映画が成功する可能性も高くなりますよね。
これが「製作委員会」の特性です。
製作委員会=パワーは倍増、リスクは分散
制作費とP&A費
総製作費というのは、「制作費」と「P&A費」の2階建てになっています。
「制作費」とは
これは文字通り映画を制作する費用です。キャストの出演費、脚本、監督のギャラ、カメラマン、音声、照明など関わる人たちの人件費、移動費、食費などなどです。
「P&A費」とは
Pはプリントつまりフィルムをプリントする費用のことです。
映画というのは、上映してくれる映画館の数だけフィルムを必要としていました。100館同時公開なら100本のフィルムが必要だったのです。
最近はフィルムではなく、DCP(デジタルシネマパッケージ)が主流ですが。
Aはアドバタイズ、宣伝費のことです。
ポスター、チラシ、HP、SNS、規模が大きな映画はTVスポットCMなども含まれます。
製作委員会にはどんな顔ぶれのメンバーを集めたらよいでしょう。
次回は製作委員会のメンバー集めについてお話します。
(つづく)